原子の核外電子が飛び飛びの値をとることをのべました。固体の中ではどうなのでしょうか。固体は,原子が蜜に集まっています。そこで固体では少し様子が違ってくるのです。
原子の中では,電子のとり得るエネルギーの値は飛び飛びであるということを述べました。も一つの性質として電子は軌道に一つずつしか存在できないということです。厳密にいうと電子は「スピン」とよばれる磁石の性質をもっています。スピンが上向きと下向きという2つの状態をとるこどできます。これを入れると一つの軌道に2つの電子が存在することになります。これのような性質を「パウリの排他原理」といいます。
固体中では原子が並んでいます。そうすると,原子の周りの原子の軌道は互いに干渉します。パウリは排他原理の影響もあるので,とびとびだった原子の周りの電子のエネルギーは,原子ごとに少しずつエネルギーがずれることになります。その結果,図97.1のように取りうるエネルギーが「バンド構造」といわれる帯状になります。電子が存在しえる帯状の領域をエネルギーバンドといいます。バンド間のエネルギーは幅を「バンドギャプ」または「エネルギーギャップ」といいます。
このバンド構造の違いが絶縁体,金属,半導体で違うのです(コラム98)。
関連動画: 「 LEDと太陽光発電の仕組み」(7分38秒)
関連サイト: 「第7回 原子から出る光」