教員免許状更新講習のテキストの中で,変圧器としてコイルと鉄芯を使った「トランス」の話をしました(スライド1-53)。電子機器などのACアダプターも大きなものはトランスが使われています。大きなものは,交流をトランスで定電圧にしてから,ダイオードを使った整流器と電圧を安定化する平滑回路を組み合わせて使用しています。携帯電話の充電器などは非常に小型になっています。これにも,トランスが使われています。コンセントの電源をそのままトランスに通すと発熱が大きくなるため,小さなトランスは使えません。そこで,コンセントの電流をいったん直流にしたあと,スイッチング回路でON/OFFすることにより高周波にします。それをトランスで低電圧にしたあと,再び直流にしているのです。これは,高周波にすると電圧が早く変化するので,比較的強い磁場ができるため,小さなコイルでも効率よく電力を伝えられるからです。コラム64でも述べましたが,IH調理器で高周波を使って発熱効率を上げているのも似たような原理によるものです。
最近は,電流をON/OFFして,平均の電圧を与えて平滑回路で直流化する方法が使われています。アメリカ以外の海外にいくと,200 Vが主流です。このような場合で,コンピュータなど電気製品のチュク流電源アダプターがそのまま使えます。それは,このようなスイッチング回路のON/OFFで原理を使っているからなのです。