テキストで述べたように炭酸飲料は,水の中に二酸化炭素を圧力をかけて溶かすことにより作製できます。家庭でも,炭酸飲料を作ることができます。専用のボトルに小型の二酸化炭素カートリッジがついているセットが市販されています。これを使って炭酸飲料を簡単に作ることができます(実験20)。
その他に,自分で炭酸飲料を作る方法を紹介しましょう。冷えた水の中に重曹(じゅうそう)とクエン酸(または酒石酸)を混ぜたものを入れると,炭酸飲料になります。重曹とクエン酸が反応した時に二酸化炭素が発生するからです。適当に甘みやレモン水などを加えると美味しく飲むことができます。私が小学生だった昭和40年(1965年)前後,粉ジュースというものが売られていました。その中には,炭酸飲料もありました。粉末の炭酸飲料は,このように重曹とクエン酸を加えたもので作っていました(実験22)。
この実験は,私が小学生の時に家でよくやってみたものです。酸,アルカリの性質と組み合わせて,夏休みの自由研究としても面白いかもしれません。水の中にドライアイスを入れておいても,水に二酸化炭素が溶けて炭酸飲料のようになります(実験21)。これも,小学生の時に,アイスクリームについていたドライアイスを水に溶かしてみて気がついたものです。ドライアイスがあるときに,やってみるとよいでしょう。
ちなみに重曹というのは重炭酸ソーダ(炭酸水素ナトリウム)のことです。重曹の曹は昔ソーダを漢字で「曹達」と書いたからです。ソーダ(soda)というのは英語でナトリウム化合物のことです。もっとも,日本語でソーダといわれるようになったのはオランダ語からきているようです。ナトリウムはドイツ語から入った言葉で英語では“sodium”といいます。
最近は,あまり見られなくなりましたが,「ラムネ」という飲み物も炭酸飲料です。ラムネは明治の初めの頃に日本に輸入されました。ラムネという名前は,レモネード(lemonade)が転訛したものだそうです。lemonadeの発音を耳で聞くと「ラムネ」と聞こえたでしょう。試しに音声再生できる辞書で聞いてみてください。最初に作られた炭酸水はレモネードに重曹を加えて作ったものだそうです。ここから,ラムネというようになったのでしょう。さらに,昔は炭酸水のことを「ソーダ水」ともよんでいました。この語源も,最初の炭酸飲料が重曹を使ったことによるものです。タブレット状のお菓子「ラムネ」には,昔はクエン酸に加えて重曹が入っていたそうです。最近では重曹を含んでいないことが多いようです。原料として,片栗粉,ブドウ糖,クエン酸などが使われています。
関連動画: 「 二酸化炭素の不思議(2/2)」(7分35秒)
関連サイト: 「第13回 さまざまな物質の科学1」