コラム13でも述べましたが,ある意味で大学に入って高校までと違うなとおもったのは,数式の読み方などです。高校の先生は「'」をダッシュと読んでいましたが,大学にはいってプライムと読むことを知りました。英語でダッシュというと記号で「-」を読む時です。例えば「A-B」などの記号が書いてあるとすると,“A dash B”と読むのです。プライムをダッシュと読むのは,古いイギリスの読み方だったようです。私が若い時に年配のイギリス人の物理学者から聞いたこともありますが,一般的ではないようです。今では日本とインドの一部で使われているくらいだそうです。
それはともかく,他の違う読み方の数式があります。分数の「A/B」は日本語では,B分のAと分母から読むのですが,英語では”A over B”と分子から読みます。 縦書きの分数では何とも思わないでしょうが,A/Bのような文中の分数で逆に読むのを不思議に思ったことはないでしょうか。もちろん,数字の分数も分子から読みます。1/3は one third,2/3はtwo thirdsです。分子の数に,分母は序数をつかいます。さらに,分子が複数の場合は序数にsを使います。但し,1/2はa halfまたはone half,1/4はaquarterです。3/4はthree quartersです。
微積分を習った時今まで分数を分母から読んでいたのに,dy/dxを“ディーワイ・ディーエックス”と読むことを教わって戸惑った人も多いでしょう。もともと,分子から読むのが本来のあり方なのでこちらが自然なのです。この場合は“dy over dx”と読む人もいますが,“over”を言わないのが一般的なようです。私が高校3年の時に習った物理の先生や私の父は“dy by dx”と読んでいました。おそらく,この“by”は“divided by”(割り算する)の略ではないかと思います。「A割るB」を英語で“A divided by B”というので,略してbyではないかと思います。私が化学会社に就職したら配管の直径dと長さLの比(専門用語ではあスペクトル比といいます)を“d by L”といっていました。現在では,むしろbyは“multipled by”の略で使えるるようです。M行N列の行列(matrix)を“M by N matrix”といいます。建築工法として知られている2×4(two by four)工法は文字通り2インチかける4インチの木材を組み合わせてつくる工法です。
最後に指数の読み方についていっていきましょう。“x2, x3, x3, x4, x5, ・・・”はそれそれx sauared, x cubed, x to the fourth, x to the fifth, ・・・とよみます。