紐を引っ張ると暖まるお弁当や燗ができるカップ酒がありますね。あれは,どういう原理で暖まるのでしょうか。
弁当箱や酒のカップの底には,酸化カルシウム(CaO,生石灰)と水が入った袋が入っています。水の袋を破ると生石灰と水が反応して発熱する仕組みです。生石灰は,水と反応すると学校のグランドのラインを引くのに使われる消石灰(水酸化カルシウム; Ca(OH)2)になります。この時発生する(反応)熱を利用して温めるのです。このように化学反応にともなって,熱が発生する反応を「発熱反応」といいます。生石灰は,海苔やせんべいの乾燥剤にも使われています。この乾燥剤は,水と反応すると発熱するので処分する時には注意が必要です。
生石灰と水の反応による発熱実験は学校でもできます。但し,アルカリ性が強いため目に入ったり皮膚についたりすると炎症を起こします。実験にあたっては,ゴーグル,ビニール手袋,袖がついたビニールエプロンなど保護具を着用して行う必要があります。
最近はたたけば冷える「瞬間冷却剤」が市販されています。これは,袋の中に尿素,硝酸アンモニウムなどとともに水袋が入っています(実験43)。叩くと,水袋が敗れますそうすると,尿素や硝酸アンモニウムが反応します。反応するときに,周りの熱を奪うので温度が下がるのです。このように化学反応に伴い,周りの熱を奪う反応を「吸熱反応」といいます。使い捨てカイロや生石灰と水の反応のように周りに熱を出す反応を発熱反応といいます。