円柱の表面積を求めることは,小学校6年生で習います。円の面積も6年生で習います。したがって,5年生以下を対象とした時には,円の面積を計算で求めさせることはできません。そこで,小学校高学年を対象とした実験科学教室で,図36.1のような厚紙で展開図をつくり,切り出して,側面の面積と上下底の面積比を電子天秤で重さを測ることによって求めてみました。表36.1に示すように表面積の計算に使えることがわかります。
現在では,コンピュータが発達して数値計算が楽になりました。でも,昔は数値計算で面積を止めるときには,トレーシングペーパーで面積を求めたい領域を写しとったものを切り抜く抜き,分析天秤(化学天秤)で質量をはかることによって面積を求めたのです。理論物理学の研究者は紙と鉛筆で研究していましたが,50年以上前には数値計算をするときに,手回し計算機や分析天秤をつかった計算も行なっていたのです。また,今のようにコピーがありませんでしたので,図書館などで調べた学術論文は手で写したり,写真を撮って引き伸ばしたりしたものを読んでいたそうです。そのため,私が大学生になる少し前までは理論系の研究室にも暗室があったそうです。私の頃も大学の物理実験では,写真の現像も習いました。
もっとも,金の無い学生は手で書き写していたのかもしれません。私の父の遺品の中でノートがありました。おそらく,私が生まれた直後にアメリカに留学していた時のものと思われます。ノートに,論文の文章が手でかかれており,グラフはトレーシングペーパーで写しとっていたのです。コピー機のありがたさを感じる一方,手で映しながら熟読できたというメリットがあるのではないかと思います。最近は,スマホで簡単に書類を写すことができます。そのため,学生が討論した結果などはスマホで撮影して持って帰るように言っています。
関連動画: 「空気の力」(8分56秒)
関連サイト: 「第5回 熱と気体の膨張と浮力」