「水と油」は混じらないものの象徴のように言われていますね。天然の牛乳を放っておくとクリームが分離してきます。それから,脂肪分を分離したのがバターです。このように,牛乳は脂肪が球状になって分散しているのです。脂肪の周りには,タンパク質があり水の中に分散するようになっています。石鹸のようなはたらきですね。石鹸は界面活性剤といって,水に親しみにくく(疎水性)油に親しみやすい(親油性)部分と油に親しみやすい(親水性)部分からできています。選択するときには,油の周り油に親しみやすい(親油性)ところがくっつき,油の粒(油滴)の周りを取り囲みます。その結果油を水の中に分散させることができるのです(図160.1)。
牛乳の中でも,同じようになっています。生クリームは,牛乳の水分が少なくなったものです,泡立ててホイップクリームにします。私が子どものころ,ケーキがあまり好きではありませんでした。小学校高学年のなると粉末で牛乳に融かしてつくるクリームがあり,ケーキの台を買ってきてケーキをつくって遊びました。ただし,家にオーブンがないこともあり,ケーキを焼いたことはありませんでした。そのクリームはおいしく感じましたが,近くのはパン屋などで売っていたケーキはなぜか不味いものでした。同級生から,ケーキはバタークリームというものを使っているということを聞きました。バターに砂糖,卵白,卵黄を練り混ぜて空気を入れて撹拌してクリーム状にしたものだそうです。最近では見られなくなりましたが,当時のクリスマスケーキなどはバタークリームを用いたものの方が一般的だったようです。
クリームと同じように水と油からつくるのもにマヨネーズがあります。小学生の時に母に作ってもらいましたが,私も興味があったのでよく作らせてもらいました。玉子の黄身1個と食酢をボウルに入れてかき混ぜた後,サラダオイルを少しずつたらしながら泡立て器でかき混ぜていきます。味付けに食塩を少しいれたかと思いますが,たったそれだけです(実験91 )。
そのほかに,ここにあるような工作で紙や木を接着するのに使うボンドや水性ペイント(コラム161)が同じような構造をしています。
マヨネーズのように,水の中で液体(油)が分散しているものをエマルション(乳濁液または乳液),固体が分散したものをサスペンション(懸濁液)といいます。