スターリングエンジンはスコットランドの牧師スターリング(Robert Stirling, 1790~1878)によって1816年に発明されたものです。当時は,蒸気機関の効率をあげるために,ボイラーの高圧化が進んでいましたが,同時に事故も多く起こりました。彼は,そのような事故を防ぐものとして安全性が高く,効率的な熱機関を開発しました。しかし,故障が多かったことと,ボイラーの安全性が高くなったことから使われなくなりました。スターリングエンジンはカルノーサイクルとよばれる理想的な熱機関に近い熱効率を持ちます。また,ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関と違って,外部から加熱するために熱源として様々なものが可能です。20世紀はじめに家庭用発動機などに一部用いられましたが,トータルのコストで内燃機関や電動モーターにかなわないために,ほとんど用いられていません。1995年頃から,コストは高いものの音が静かで長期間の潜行が可能であることから潜水艦の動力としても用いられています。
関連動画: 「熱の流れを利用した熱機関」(8分07秒)
関連サイト: 「第10回 熱の流れと熱機関」