原子力発電に使われるウラン235は天然のウランの中の0.7%しか存在しません。原子力発電に使うために,ウラン濃度を3~5%程度に濃縮して使う必要があります。ウラン235の半減期(コラム123)は,7億年です。7億年経つとウラン235の分量が半分になるということです。地球の誕生は46億年前といわれています。半減期7億年というと非常に長いように感じます。実際,製造されたばかりの原子力の燃料(核燃料)からはほとんど放射線がでていません。そのため,核燃料は普通の工場でつくられています。作業や見学するときには,放射線測定器をつけています。しかし,ほとんど放射線がないことがわかります。本文で述べたように,原子炉で使われる核燃料でも,地球の寿命で考えるとものすごく減っているということがわかります。計算してみるとウラン235は46億年前には68%,30億年前には14%,20億年前には5%あったことになります。そうすると,20億年よりも以前の濃度だと自然に核分裂反応が起きる可能性があることになります。実際,中部アフリカ大西洋側のガボン共和国のオクロというところで天然の原子炉の跡が見つかっています。20億年程前に,数十万年にわたって核分裂反応が起きていたようです。
ご承知のとおり,地球内部の温度は高くなっています。そのために,温泉が出たり,火山が噴火したりするのです。もともと,地球ができた時に地球自身が熱くなっていたと考えられます。その後の冷却を補うのは放射性元素の崩壊に伴う熱だと考えられています。最近,地球の内部からくるニュートリノとよばれる素粒子を観察することによって,地球内部で核分裂反応が起きていることが確認できたそうです。