原子炉の制御棒には,ホウ素が使われています。緊急時には原子炉にホウ酸水を注入して核分裂を止めることもできます。これは,ホウ素が中性子を吸収しやすいからです。正確にいうと,ホウ素の同位体の一つホウ素10(ホウ素10というのが,陽子(5個)と中性子の数の合計が10個ということです)は中性子とぶつかりやすいのです。ぶつかったあとは,リチウム7とヘリウム4に分裂します。これらは,放射性を出しませんので中性子を止める材料として適しているのです。ぶつかりやすいといいましたが,ぶつかりやすさを示す量として専門用語で「吸収断面積」という量を用います。中性子をボールとして,球状のホウ素が並んでいるとしましょう。この時,ボール断面積が大きければ大きいほどぶつかりやすくなります。ぶつかりやすさの程度をボールの断面積に例えたのが吸収断面積なのです。