溶液は,溶媒とよばれる液体に溶質とよばれる固体,液体を溶かしたものです。砂糖は温度が高いほどよく水に溶けるように,固体の溶液は,温度が高いほどよく溶けます。それぞれの温度でそれ以上溶質が溶けなくなった溶液を「飽和溶液」といいます。飽和溶液の温度を下げていくと,溶ける量が減ってきます。そのため,固体が結晶となって現れ(析出し)ます。しかし,飽和溶液の温度を下げていっても,すぐには結晶が合わられないことがあります。この状態を「過飽和溶液」といいます。しかし,過飽和溶液に刺激を与えると結晶が急に現れることがあります。このとき,結晶の状態の方が本来安定です。そのため,結晶状態の方が低いエネルギーを持っています。したがって,結晶になる時熱としてエネルギーを放出するのです。この現象を使ったのが,エコカイロです。
エコカイロは塩化ビニルのパッケージの中に酢酸ナトリウムの過飽和溶液がと金属片が入っています。窪んだ金属片を逆の向きにヒックリ返すと刺激で過剰に溶けた酢酸ナトリウムが結晶となって現れます。その時の発熱を利用したのがエコカイロです。エコカイロは,さらにお湯の中で温めて結晶を溶解させると再び使用できます。そため,エコカイロという名前がついています。でも,温めるためのエネルギーを考えと実際に得られるエネルギーよりも多くのエネルギーを使っているはずです。しかも,温かくなっている時間は1時間程度です。使い捨てカイロのように長時間の使用はできませんが,使用条件を考えて使い分けることが賢い使い方かと思います。個人的には「エコカイロ」は実際のカイロとしてよりも,学校での教材として価値があるように思っています。
関連動画: 「ガラスって何だろう?」(4分49秒)
関連サイト: 「第14回 さまざまな物質の科学2」