マントルを使用したガス灯を白熱ガス灯といいます。ガス灯のマントルは,オーストリアの化学者,ヴェルスバッハ(Carl Auer von Welsbach, 1858~1929)によって1886年(明治19年)に発明されたものです。マントルは麻や人絹の織物に硝酸セリウム・硝酸トリウムを含浸させたものです。繊維は,燃やして炭化してから使います。セリウム,トリウムなど原子からの発光を用いて明るくするものです。トリウムからは放射線の一種であるアルファ線が放出されます。アルファ線の電離作用で火炎を安定させる働きもあります。マントルには,放射性のトリウムが含まれていますので,霧箱実験の放射線源としても使うことができます。
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