最近,「世界の村で発見! こんなところに日本人」とか「世界の日本人妻は見た!」などのテレビ番組が放送されています。それらの番組からは,さまざまな示唆を受けます。印象的なのは,国によって最新の技術が先に普及するというがあるということです。例えば,電気が来ていないアフリカの村で若い女性が携帯電話で友達と話しているとか,テレビの電波がきていないのに,携帯電話が使えるとかいうことです。電気が来ていないアフリカの村の女性は町に買い物に出たついでに充電するそうです。モンゴルのゲルに住む日本人妻は,ゲルの脇の太陽光パネルで発電した電気を蓄電池にため,それを使って充電していました。ゲルの中では子供がテレビゲームをしていました。電力システムを専門とする先生に聞いたところ,発展途上国からの留学生が増えていますが,それらの国ではほとんど太陽光発電を考えているということです。太陽光発電を導入するのは,送電設備をつくる必要がなく,盗電の心配が少ないからだということです。
日本では,「再生可能エネルギー固定価格買取制度」を導入して,太陽光発電等の普及を図っています。今は買い取る価格も下がり,更に見直しが検討されていますが,通常の家庭向け電力の倍近い価格で買い取るというのはどう見ても不自然です。それよりも,もっと発展途上国への援助を行い,太陽光パネルの生産コストを下げてから日本に普及をはかるのが現実的に思えてきます。
それにつけて思うのは,日本の送電網の発達と,停電が起こらない体制のありがたさです。私たちは,停電なく,安定して電気が供給されるのが当たり前だと思っています。でも,その影で,多くの人が長い時間をかけてシステムを作ってきたのです。すでにあるところから,少しずつ改良していくので,利用者の負担も少なくて済みます。でも,送電設備も何もない国で送電網を導入するとなると,高い建設コストと長い時間がかかります。さらに,送電網ができた後の保守管理のための人材育成などに多大の時間と費用が必要となります。私たちは家庭で電力を安定して利用できるのは,これらの過去・現在の日頃見にすることができない人たちのたゆまぬ努力のおかげなのです。このように先人にも,現在電力関係の仕事に従事している人たちに感謝する必要があるのではないでしょうか。
私たちは,もったいない,ありがたい,おかげ様という言葉を忘れかけています。私たちが生きていけるのは,これまでの先人の長い間の努力の遺産や,さまざまな見えないことで働いた方々のおかげだと感謝することを忘れています。それらの方々に感謝することが,おかげ様ということではないでしょうか。また,頂きますという言葉には,「私たちが生きていくために,失った動植物の命や私たちの口にする食物を生産・捕獲し運んで来るために働いている多くの人たちの労力や工夫のおかげ」を頂きますということではないでしょうか。
もったいないという言葉も忘れかけています。しかし,人に対して,もったいないという気持はさらに少なくなっているのではないでしょうか。「もったいない」は人に対しても言えるはずです。限られた人材の資源の中で,出来る限り人の力を活かすことが大事です。ダメだと決めつけて切り捨てるまえに,どうしたら活かすかということも大切でだと思います。さらに,能力がある人をさらに活かすことも大切だと思います。そうしないと,とてももったいないことになると思います。個人にとっても,組織にとっても,少しでも力をつけて,能力を伸ばし,活用することが人を活かすことになります。それが,人に対するもったいない精神ではないかと思います。