日本で使われる商業用電力は本州と北海道,本州と四国の間は一旦直流に変換されて送られています。交流と直流の違いは何でしょうか。別の項目でも述べたように交流では,コイルを使って電圧を変換することができます(コラム61,コラム68)。このように直流では伝わらない電気の伝え方ができるのが交流です。電線の周りに被覆した絶縁体や海水があると,それらの分子が揺すぶられるため,「誘電損失」のとよばれるエネルギーのロスが生じます。そのため,海底送電は直流を用いるのです。空中は裸電線ではその影響は無視できます。ですから,送電線に交流電源を流すのはかまわないのですが,海底を絶縁体で被覆した電線で送電するためには直流にする必要があるのです。