パワーエレクトロニクスという言葉を聞いたことがあるでしょうか。大電力を扱える半導体素子(電力用半導体素子)を使って,交流と直流を変換したり,交流の周波数を替えたり,電圧を変えたりすることが可能になっています。昔の交流モーターは,電源の周波数によって制御されていました。そのため,60 Hz用と,50 Hz用で違うものが使われていました。現在は,交流モーターも周波数を替えることによって,回転数を制御するようになっています。昔のエアコンや冷蔵庫はモーターの回転数を一定にしてモーターをオンオフすることによって,温度を制御しています。しかし,現在は周波数を制御することによって,モーターの回転数を連続的に変えることによって,温度制御しています。このことが,エアコンや冷蔵庫の省エネにつながっています。
ちなみに直流を交流に変換するものを「インバーター」,交流を直流に変えるものを「コンバーター」,交流の周波数を変えるものを「周波数変換器」,直流の電圧を変換するものを「レギュレーター」といいます。
周波数制御が行われるようになったのは1960年代後半頃で,1970年代に鉄道やエレベータに使われるようになりました。家庭用に使われるようになったのは1990年代からです。
現在電力用半導体素子は集積回路(LSI)と同様にシリコン(Si)が使われています。使用時の発熱などによるロスを低減するために炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの半導体が研究されています。さらに,ダイアモンドも電力用半導体として研究されています。