米国に行くと,セッ氏(摂氏)温度ではなくカ氏(華氏)温度が使われています。私たちが使い慣れている温度と大分感覚がちがうので迷ってしまいます。
まず,セッ氏温度はスウェーデンの天文学者セルシウス(Anders Celsius, 1701~1744)が1742年に考案したものです。当初は今とは逆に,一気圧における水の沸点を0°C,凝固点を100°Cとしたものでした。そのため,冬の寒いときでも温度の値が負にならないものでした。しかし,セルシウスの死の直後の1744年に現在のように,水の凝固点を0°C,沸点を°Cとするものに改められました。
華氏温度はオランダのファーレンハイト(Gabriel Daniel Fahrenheit, 1686~1736)が考案したものです。単位記号は°Fです。現在は,純水の凝固点を32°F,沸点を212°Fとして,その間の温度を180等分して1度としています。当初は,ファーンハイトが測ることができた最も低い温度を0°F,自分自身の体温を100°Fとしたと言われています。0°F = -17.8°C,100°F = 37.8°Cです。
アメリカでは,温度にカ氏を用いているだけはなく,長さ,質量にヤード・ポンド法が慣習として使われています。日本でも,今はメートル法が使われ,ヤード・ポンド法や日本固有の単位である尺貫法は法律で禁止されてメートル法を使用することになっています。これも,一朝一夕にできたものではありません。度量衡の国際統一のためにメートル条約が成立したのは1975(明治8)年のことです。日本は,1885(明治18)年メートル法条約に加入しました。しかし,なかなか普及しなかったため,1891(明治24)年に制定された度量衡法で,尺貫法に加えてメートル法の使用を認めました。1921(大正10)年に改正された度量衡法ではメートル法を基本に改正されました。1959(昭和34)年,戦後に度量衡法から改正された計量法(1951[昭和26]年制定)で土地建物を除き,メートル法を完全実施することになりました。1966(昭和41年)には,全面的にメートル法の実施がなされるようになりました。当時私は10歳でしたが,メートル法が完全実施されたことをニュースで聞いたことを記憶しています。今でも,土地の広さ(面積)を平方メートルに併せて坪が使われることあります。中学校だか高校で歴史の先生(中学校,高校と同じ先生に習ったので,どちらかわかりません)メートル法を使うことを昭和10年の帝国議会で決めたと言っていた記憶があります。その時,昭和10年と記憶しているのは,昭和41年の約30年前だと頭の中で言い直したからです。でも,大正10年の記憶違いだったようです。何れにしても,単位系を統一するにはものすごく長い時間がかかるのです。
関連動画: 「気体の体積変化と温度計」(7分47秒)
関連サイト: 「第5回 熱と気体の膨張と浮力」