何シーベルトでどのくらいの影響があるかを示したのが表131.1です。自然界には,放射線が存在しています。普通に生活していて私たちが年間に浴びる放射線の量は2.4ミリシーベルトです。土地によって,放射線量は異なります。世界中で多いところで年間10ミリシーベルト浴びるそうです。胸部をX線のCTスキャンで見ると一回で6.9ミリシーベルト程度浴びます。500ミリシーベルト一度に浴びると血液中のリンパ球が減少します。一度に100ミリシーベルト浴びると健康に影響がでる可能性があると言われています。
放射線が当たると遺伝子が破壊される可能性があります。しかし,遺伝子には修復作用があるため通常は大丈夫です。比較的少量の放射線は体によいとの説もあります。比較的少量の放射線を浴びたときの影響についてははっきりいってわかっていないのが実情です。最近にある程度触れていた時の方が免疫力が高まるのと同じような効果があるのかもしれません(コラム132)。
放射線があたると,遺伝子が破壊されることがあります。でも,通常は修復能力を持っているので,問題がありません。でも,免疫力が低下すると回復能力が落ちると言われています。原発事故で放射された放射線の量が少なくても,生活環境の変化や放射線を恐れるあまり,偏った食事をしたり,不安に思ったりすることが免疫力の低下につながります。こちらの影響の方が放射線に対する影響よりも大きいかもしれません。原発事故の影響について,放射線の安全性ばかり議論するのでは不十分ではないでしょうか。放射線の影響だけではなく,環境の変化や放射線を恐れるあまり物流や食生活などの変化など全ての影響を考えた上で,リスク管理と事故時対応を考えなければならないのではないかと思います。