白色光をつくるためには,いろいろな光を組み合わせて白色をつくることが大切です。光の三原色というのをご存知でしょう。カラー印刷やカラーテレビは,光の三原色を組み合わせてつくります。USBでパソコンにつないで,拡大表示できる顕微鏡が数千円から数万円で買えるので,実験してみるとよいでしょう(実験58)。
パソコンの白い画面をみると,赤,緑,青の三原色からなっています(図102.1)。カラー印刷したものは,シアン,マゼンタ,イエローの3原色からなっています(図102.1)。パソコンやテレビでは,それぞれの色を足しあわせてものです。このような色の再現方法を加法混(かほうこん)色(しょく)または色の足し算といいます(図102.2)。絵の具や印刷では,光が出るのではなく,インクや絵の具が光を吸収します。吸収されずに残った光が反射して色が見えるのです。この場合は,光が吸収されて残ったものを使うので,減法混(げんぽうこん)色(しょく)または色の引き算とよびます(図102.2)。
この原理があるおかげで様々な色を比較的簡単に再現することができるのです。加法混色の実験は,簡単にすることができます。ズーム機能がついた懐中電灯三個とRGB(赤・緑・青)のセロハン紙を使い,図102.3のように白い紙に投影して再現することが可能です(実験56)。小学校6年生向けの出前授業で実施しましたが,児童たちは簡単に中央の白色を再現していました。減法混色については,絵の具を用いたり,CYMのセロハン紙とOHPを用いたりして実演できます。残念ながら,最近は,OHPがあまり使えないのが残念です。OHPがない場合は,ライトボックスにセロハン紙をのせて,書画カメラで投影すればよいでしょう(実験57)。
三原色については,美術では習いますが,理科では習いません。それはなぜなでしょうか?よくわかりませんが,単純な物理の問題として説明しにくいからかもしれません。三原色で,色を再現できるは,単純に目の構造がそうなっているからです。目の画像がうつる網膜には,光を感じる細胞があります(図102.4)。明るい光に対しては,「錐体(すいたい)」とよばれる細胞が,暗いときには,「桿体(かんたい)」よばれる細胞が光を感知します。桿体は色を感じませんが,錐体はRGBそれぞれに対応する三種類のものがあり,色を識別します(図102.4)。このように,三原色は人間の体の仕組みに関係しているのです。ですから,デジカメもビデオカメラも同様に三原色からなっている撮像素子をつくれば人間にとって自然な色が再現できるのです。
関連動画: 「光の三原色」(4分13秒)
関連サイト: 「第7回 原子から出る光」