地球温暖化の実験にはいろいろありますが,なかなか難しい問題があります。
図149.1のような二酸化炭素(CO2)が温室効果の強いガスであることを確かめる実験装置があります。プラスチックの球に二酸化炭素と空気を入れて,外から赤外線ランプの光をあてて温度上昇を比べるものです。球の中に地球儀が入っていて,地球温暖化を示す実験のように思われます。でも,実際の地球温暖化は地球の外部から赤外線で温められるのではありません。地球の来た目に見える光(可視光)が地球表面にあたり,赤外線となって放出されるのです。ですから,このような装置で二酸化炭素の赤外線吸収効果を知ることはできますが,地球温暖化そのものメカニズムとは違います。教材として使う場合は十分注意が必要です。
さて,簡単に実験しようとすると図149.2に示すように2 Lのベットボトルを用いた実験を考えることもできます。図のように,ベットボトルに二酸化炭素をいれて,温度計を差し込んだゴム栓をして,100 Wの白熱電球で加熱するのです。あらかじめ空気で温度の上がり方を測定しておいてから二酸化炭素を入れるとよいでしょう。二酸化炭素を入れることによって温度がもとに戻ります。二酸化炭素がはいったことは,ベットボトルをはかりの上に乗せておいて,二酸化炭素スプレーにノズルをつけてゆっくり入れ,はかりの表示が変わらなくなったら二酸化炭素が十分入ったと判断します。このとき,電球とベットボトルの配置,温度計の角度等変わらないように配慮することが必要です。一度やってみて,温度上昇を確認したつもりになりましたが,演示した時には変化がよくわかりませんでした。ここで,紹介すべき実験ではないかもしれませんが,このように試行錯誤で開発中の実験もあるということを知っていただきたいと思います。そのため不完全ですがあえて書きました。