送電線でも発熱します。コラム54で述べたように,単位時間あたりの発熱量(発生するエネルギー)は抵抗かける電流の二乗になります((54.3)式)。そこで,同じ電力を送るためには電流が小さい方がよいことがわかります。そのためには,電圧を上げて電気を送ります。これが送電線(高圧線)です。遠くに送電するために,電圧を上げているのです。
各発電所でつくられた電気は27万5000 V~50万Vという超高電圧に変電されて送電線に送り出されます。これを順次電圧を落としていきます。2万2000 Vまで電圧を下げたものが大規模工場やコンビナートに送られます。さらに, 6600 Vまで電圧を下げたものが中規模な工場や大規模なビルに送られます。さらに家庭用の電源は,電柱上の変電器で100 Vまたは200 Vにします。このように順次電圧を下げていくために,変電所が必要になります。長距離の送電の例として,富山県の黒部川流域の複数の発電所で発電した電気が関西地区まで送られています。