フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale; 1820~1910)は,戦場の看護師として働いたことで有名ですが,彼女自身の貢献は,統計学でも大変大きな寄与をしているのです。クリミア戦争での負傷兵の扱いが悲惨であることから,自ら志願して看護婦として従軍したのです。裕福な家に生まれた彼女が看護婦になるだけでも大変なことでしたが,しかも従軍看護師として志願したのです。
従軍看護師として,傷病兵を看護するなかで,負傷兵の多くは傷によるのではなく戦地の病院の不衛生による感染症によって亡くなっていることに気づきます。しかし,言葉で言っても議会は動いてくれます。そこで,戦場での衛生状態の改善のために,数々の統計資料を作成し(図106.1),議会を動かして衛生の改革に大きな役割を演じています。そのため,統計学の先駆者として大きな貢献をしています。
ナイチンケールは看護教育,看護学校の設立,病院建築などでも大きな貢献をしています。