熱平衡状態に対しては,次のような法則が成り立ちます。
「物体Aと物体Bが熱平衡にあり,物体Bと物体Cが熱平衡にあれば,物体Aと物体Cが熱平衡にある」
これを「熱力学の第0法則」とよびます。当たり前のことを言っているようですが,この関係があるので温度を計ることができるのです。例えば,物体Cの体積が,温度によってどのように変わるか分かっているものとします。物体Bの温度が分かっているとすると,物体Bと物体Cを熱平衡にしたときに,温度と物体Cの体積が決まります。そうすると,物体Aと物体Cを熱平衡にすることによって,物体Cの体積から物体Aの温度を計ることができるのです。
温度計となる物体Cの体積といいましたが,温度を測る指標は体積である必要はありません。例えば,電圧や電気抵抗を使って温度を測ることもできます。実際にそのような温度計があります。普段,理科の実験で使用する棒状温度計は赤色に着色したアルコールや灯油が用いられています。
セッ氏温度は,0℃と100℃は,1気圧において氷が溶ける温度(融点)と水が沸騰する温度(沸点)を決めています。その間の温度はどうやって決めるのでしようか。体積や電圧を用いるときに,物理量によって違うことが考えられます。そこで,窒素,水素,不活性ガスなど簡単な形の分子からなる気体の体積を温度の基準にしています(コラム21)。
関連動画: 「気体の体積変化と温度計」(7分47秒)
関連サイト: 「第5回 熱と気体の膨張と浮力」