初めて飛行機で飛んだのはウィルバー・ライト(Wilbur Wright, 1867~1912)とオーヴィル・ライト(Orville Wright,1871~1948)の二人です。ライト兄弟として有名ですね。ライト兄弟が初めて飛行に成功したのは1902年12月17日のことでした。彼の飛行成功に疑問を持つ人もいたようですが,航空機は急速に発達していきます。その後,二人の人生は必ずしも恵まれませんでした。
さて,日本での初飛行はライト兄弟の初飛行から7年目の1910(明治43年)年12月のことでした。同年12月14日に陸軍士官の日野熊蔵(1878~1946)が試験飛行で60 m飛んだのが最初とされています。しかし,公式には12月19日に行われた公式記録会で徳川好敏(よしとし)(1884~1963)が続いて日野熊蔵が飛んだとされています。私が小学校の時に,日本で最初に飛行機で飛んだのは,徳川大尉と本で読んだ記憶があります。徳川というので,徳川将軍家の関係者だとは思っていましたが,その当時はどのような家の出かは知りませんでした。徳川好敏は,徳川吉宗が徳川将軍家の跡継ぎが絶えたときのためにつくられた御三卿のうちの清水徳川家の当主です。江戸時代に徳川を名乗ることができたのは,将軍とその跡継ぎ,御三家および御三卿の当主と跡継ぎだけでした。その他の人は,将軍の子供でも,徳川を名乗ることはできなかったのです。
ちなみに御三卿というのは,その当主が大蔵卿,式部卿,刑部卿,宮内卿などの律令制における「省」の長官についたからです。