炭素14はベータ線を出して崩壊します。半減期は5,730年です。大気中の炭素14の割合は上空(成層圏)で窒素14に中性子があたることによって生成するのです。炭素14の割合は常に一定になっています。生物内は代謝がよいので大気中の割合と同じになります。ところが,生物が死ぬと炭素14の量が減ってきます。遺跡から出土する木材などの中の全ての炭素の中の炭素14の割合を測ると,その木材の年代がわかります。年代測定は加速器質量分析法とよばれる,炭素14の数を直接測る方法が使われています。
平成24年7月13日,三方五湖のうちの水月湖の年(ねん)縞(こう)がフランスのユネスコ本部で開かれた,世界放射性炭素会議総会で地質学的年代測定の事実上の世界標準に認定されました。年縞というのは,湖沼などで長年堆積した層状の縞を描く堆積物のことです。水月湖の場合,過去16万年分の堆積物が完全な形で採取できました。日本,イギリス,ドイツなどの共同研究チームが過去5万年に亘る年代測定を行い,高精度のデータが得られたことから世界標準になったのです。水月湖は,三方五湖最大の面積を持つ汽水湖(湖水に海水が侵入している湖)です。水深が深く,直接流れこむ河川がなかったために,綺麗に堆積したと考えられています。年縞は,花粉や火山灰なども含むため,さまざまな情報が含まれています。詳しくは「奇跡の湖 水月湖の年縞」(福井県安全環境部(2014))参照してください。