教員免許状更新講習「生活の中の熱とエネルギー」は,児童や保護者達に対する実験教室や啓発講座が元になっています。その時,それらを実施するときには,
1) 少なくとも新しい説明法か実験を考案する
2) ストーリー性をもった説明をする
ことを原則としています。
これらの実験教室や啓発講座での説明法や実験の考案は,私自身がもっている「学びのイメージ」を実践したものです。学ぶということは,「知っていることの仲間づくり」だと考えています。学ぶ過程で,知っていることと関連づけて理解していきます。知識は互いにつながって初めて役に立つものだと思います。新しい知識を得ることにより,既存の知識も新しい知識とつながっていきます。もちろん,つながりができるのに時間がかかります。私は小学校を卒業して50年近く経ちますが,未だに小学校で学んだことについて「そうだったんだ」と気づくことがあります。このように「学び続け,問い続け」が大切だと思います。
「知っていることの仲間づくり」といいましたが,私は具体的には綿菓子づくりをイメージしています。割り箸に綿菓子が絡んでいない時には,なかなか絡まないのですが,絡み出すとよく絡むようになります。ただ,綿菓子は表面にしか絡みませんが,知識は綿菓子の全体の部分と絡みます。これは,ひょっとすると私だけの感覚かもしれません。私は知っていることをつなげないと記憶ができないのです。その意味で私の学びを説明したものを「綿菓子モデル」とよぶこともできます。
このように私は「知識はつながって初めて役立つ」と思っています。新しい知識を得ることは既存の知識とつなげることでもあります。ただし,つながりができるのに時間かがかります。「知っていることの仲間づくり」は別のことばでいうと「知識のネットワークの構築」ということもできます。新しいことを学ぶに際して,既存の知識と結びつけながら学ぶということは,すでに学んだことを思い出すことでもあるのです。言い換えると,つねに復習しながら学んでいることになります。最近は,「覚える力」よりも「思い出す力」が大切と言われるようになりました。このような学び方をすれば,自然に思い出す力を鍛えることになります。このようなことから,記憶力はある程度年齢がいった方が伸びてきたように感じます。特に,50代になってから少しですが記憶力が伸びてきたように実感します。最近,思い出す力の重要性が言われていますが,認知症予防の面からもよいようです。
考えることが大切,知識が大切という議論の不毛さは前項(コラム4)でも述べたように,学習タイプが違う人が自身の体験にもとづいているので,不毛な議論となっているのではないかと思います。
関連サイト: 「第3回 主体的・対話的で深い学びとは」