「つなぎの技術」の一つとして開発しているのが「もんじゅ」で試験をしている「高速増殖炉」です。3.11の事故があり廃炉になることになりました。しかし,必要性がなくなったわけではありません。そこで,その原理を知っておく必要はあるでしょう。従来の原子炉の中では,「姉のひのきウラン」にゆっくりした中性子が当たり,核分裂が起こります。核燃料にならない「妹のあすなろウラン」であるウラン238に比較的速い中性子がぶつかると図のように「プルトニウム」(プルトニウム239)とよばれる原子に変身してパワーアップします。これは,ひのきウラン(ウラン235)と同様分裂して,莫大なエネルギーと中性子が出てきます。出てきた中性子は,あすなろウランにぶつかるとプルトニウムになって核分裂を繰り返します。あすなろウランは,天然ウランの99%以上ありますので,これを有効に利用することによって数千年のエネルギーが確保されるといわれています。今までの原子炉では,中性子を遅くするために水の中に入れていましたが,高速増殖炉でも中性子を遅くしないために,液体状になったナトリウムという金属の中で燃やします。
使用済みの高レベル放射性廃棄物(使用済み核燃料)の処分が問題になっています。高速増殖炉は使用済みの核燃料が使用できるだけではなく,さらに使った後の放射線の減衰が速くなると考えられています。通常の原子炉(軽水炉)で使用した核燃料は地層埋設処分をしても,安全なレベルまで減衰するのに4万年程度かかると言われていますが,高速増殖炉の燃料として使った後では,1000年くらいに短縮されると言われています。それで,妥当かどうかの判断はさておき,そのような事実があることは知っていてほしいと思います。