シャルルの法則は,圧力が一定の場合の体積の温度依存性を表したものです。それに対して,温度が一定の場合の体積と圧力の関係を示したのがボイルの法則です。温度一定の場合圧力は体積に反比例することを示すものです。これは,アイルランドのボイル(Robert Boyle, 1627 ~ 1691)によって1662年に示されたものです。シャルルの法則と併せてボイル・シャルルの法則が導かれました。
ボイルの法則は浣腸器に圧力計をつけたもので簡単に確認することができます。図22.1は(スライド1-16の図と同じ),体積と圧力の関係を示したものです。体積と圧力の積が一定となっていることがわかります。図22.1は,
a) 縦軸に圧力,横軸に体積をとったもの
b) 縦軸に圧力,横軸に体積の逆数をとったもの
c) 縦軸に圧力と体積の積,縦軸に圧力と体積の積をとったもの
の3種類を示しています。a)は教科書にでている反比例のグラフのようになっていますが,これを見ただけでは本当に反比例しているかピンとこないでしょう。b)は,直線になるため体積は圧力に反比例することがわかります。さらに,b)は,体積によらず圧力と体積の比が一定になることがわかります。実験データを理解するには,このように色々とグラフの書き方を変えてみることも有効です。
学校の授業ではあまり教わりませんでしたが,大学院に行ってから様々なプロットをしなおして理解することによって,データと対話できることに気が付きました。このことは,企業に就職してから大変役に立ちました。何かわけがわからないものも,プロットの仕方をかえたり,並べ替えたりするなどの作業をしながら考えていくと,データから様々なことが読み取れるのです。グラフにかぎらず,当初は意味がわからないことも,表にまとめたり,グラフを並べて比べたり,概念を図示したり,人に対する説明を考えたりしているうちに,少しずつ考えがまとまってくるものです。
学校でももっとこのように,考えながら,作業しながら理解していくことを体験させるような機会をつくると良いのではないでしょうか。学んだことを人に説明したり,問題の解き方を一緒に考えたり,できた問題の解き方を人に教えることももちろん有効ですが,グラフや表を様々な形でまとめながら考えるという作業も「アクティブラーニング」の一つのやり方として重要ではないかと思います。
このように自分で考える時には,多くの場合,長い時間かけて深く,断続的に考え続けることが大切だと思います。私だけのことかもしれませんが,深く考えると,潜在意識に焼き付きます。そうすると,歩いている時とか,目が覚めた時に自然に考えが浮かぶことがあります。他のことをしていても,その問題に意識が行くことがあります。潜在意識で考え続けているのでしょう。そのため,大事な問題は,必ずある程度考えたら,一旦,投げ出して一晩以上置いてから結論を出すようにしています。学校教育の中では,さまざまなことをやらないといないので,すべての人に長時間深くこのようなかたちで考えさせることは難しいのでしょうが。学生時代に深く考える習慣をつけておくと,深く考えることを無意識にできるようになります。
私は,逆に結婚,就職,家を建てるなど人生にとって,大切なことは深く考えないようにしています。このようなことを理屈で考えると決められません。そこで,直感で決めることにしているのです。但し,ある程度考えた後に,朝目覚めてから決めるようにしています。直感で決めたことも,後で考えると深い意味をもっていたこともあります。考えたつもりでも,後で考えるとさらに深い意味を持っていたことに気づくこともしばしばあります。
関連動画: 「気体の体積変化と温度計」(7分47秒)
関連サイト: 「第5回 熱と気体の膨張と浮力」