「ゼロエミッション」という言葉があります。工場などで廃棄物などを原料化して,外に出さないというものです。しかしながら,熱力学第二法則によれば,無駄なエネルギーが出ることになります。そこで,「ゼロエミッション」なんて原理的にはありえません。但し,その無駄なエネルギーを別のエネルギー源として活用することはできます。例えば,火力発電や原子力発電で出た熱を有効利用することは可能です。捨てる熱を新たな熱源として使うことは可能なのです。例えば「コンバインドサイクル」という天然ガスを用いた火力発電の方式があります。第一段目として,ジェットエンジンのような仕組みで発電をします。そこから出た熱で水蒸気をつくり,発電します。このことによって,少しでも無駄な熱を少なくすることができます。
様々な熱機関を水力発電のモデルで説明しました。この時,水の流れが止まってしまうと,水車が動かず発電できません。その流れた水でさらに水力をすることも場合によっては可能です。このようにして,富山県の黒部川の流域では,黒四ダムで有名な黒部第四発電所をはじめとして11箇所の発電所が稼働しています。
水力発電は,エネルギー変換効率が80%と圧倒的に高く,二酸化炭素の排出量が少ないので,環境に優しいと言えそうですが,小規模の水力発電を除いて現在増やすことは難しいのが現状です。
水力発電のエネルギー変換効率は80%と,他の発電方式とくらべて非常に優れています。(LNG複合[コンバインドサイクル]55%,火力蒸気タービン43%,ガスタービン35%,原子力33%,風力25%,太陽光10%,地熱8%,海洋温度差3%,バイオマス1%)と非常に優れたものです(関西電力のHPhttp://www.kepco.co.jp/corporate/energy/water_power/shikumi/index.htmlから引用,元データは「新エネルギー大事典」)。さらに,水力発電の1 kWhあたりの二酸化炭素発生量は,すべて設備関係によるもので,11 gと他の発電方式に比べて小さいものです。ちなみに石炭火力943 g(燃料864 g,設備 79g),石油火力738 g(燃料695 g,設備43 g),LNG火力599 g(燃料476 g,123 g),LNGコンバインドサイクル474 g(燃料376 g,設備98 g),太陽光38 g(以下すべて設備),風力25 g,原子力25 g,地熱13 g,水力11 gです(出典関西電力HP,元データは「原子力・エネルギー図面集」2014)。