電気パンづくりは,よく小学生向けの実験教室などで行われています(実験33)。子どもは,食べるのが好きですから,大変喜びます。同じ,方法でご飯を焚くこともできます。このような炊飯器が実際に販売されていたこともあります。ソニー(当時は「東京通信工業」)は創業時に資金稼ぎのためこのタイプの炊飯器を作って販売していました。
ところで,児童向けの実験教室では,ただ電気パンをつくるだけは終わることが多いかと思います。私は,電気パンをつくるだけではなく,電気パンづくりに関連する色々なことを組み合わせて説明するようにしています。電気を流すと発熱することを説明するために,白熱電球などの話やシャープペンシルに通電すると発熱することを最初に示します。材料も市販のホットケーキミックスを使うだけではなく,小麦粉(薄力粉),砂糖,ベーキングパウダー,卵などを混ぜて作るようにします。さらに,材料の性質を知るために,ヨウ素澱粉反応や,ベーキングパウターのはたらきなどについても学んでもらいます。
このように,身の回りのものが理科で学習することとさまざまな形でつながっていることを知って欲しいと願っています。さまざまなことがらを関連づけて物事を理解する習慣をつけることが,学校で学んだことを社会で活かすことにつながると思っています。このようなことを理科にかぎらず授業の中で意識することによって,理科だけではなく,さまざまな教科に対する興味を引き出し,学習したことを社会人で活かしていく力につながると思います。