分光シートで光がどのような(色の)成分からなっているかを観察できます。いろいろな色に別れて見えるのは,光の波長によって色が異なるからです。光は,波です。池の表面のさざなみを思い浮かべてください。波の高いところと,隣の高いところの距離が波長です。目に見える光の波長は380ナノメートルから780ナノメートルといわれています。ナノメートル [nm] というのは,10億分の1メートルのことです。この波長は約1万分の4から1万分の8ミリメートルにあたります。
このように光は波です。分光シートは,細い並行な溝ができています。溝のところはギザギザになっていますが,間に平で透明なところがあります。隣り合ったところから出た光は波であるため,互いに強めあったり,弱めあったりします。その結果,分光シートの表面からみて,斜めの方向に決まった角度で出た光が強く見えるようになります。光の波長によって,強くなる角度が違うために,分光シートを通して,光をみると光源から少し離れたところに,色がついて見えるのです。詳しい原理は参考資料(「『理学部案内』の分光シートについて」京都大学理学研究科社会交流室HP)をご覧ください。
CDの表面にも分光シートと同じような溝が切ってあります。そのため,光を色の成分に分けることができます。
虹も,光の波長によって,光の進み方が違うことによって起きる現象です。光が水やガラスなどの透明な物体を進む時には,空気中を進むときよりも進む速さが遅くなります。水面に斜めに光が入ると,光の進む向きが折れ曲がります。この現象を屈折といいます。屈折は光が波であることと,物体中では遅くなることが原因で起こります(コラム84)。物体中での光の遅くなり方は,波長によって異なります。そのため,プリズムを使って光を分けることができるのです。虹は,太陽から出た光が水滴の中を通って反対側の表面で反射したときに見られる現象です。
関連動画: 「 蛍光灯とLED」(11分59秒)
関連サイト: 「第7回 原子から出る光」