東日本大震災以降,「防災教育」が盛んになっています。何のための防災教育でしょうか。もちろん,災害の時に身を守るためです。でも,それだけでしょうか。このことを考えさせられたのは,教育熱心なある先生の一言でした。「うちの学校は海から充分はなれているので,津波は関係ない」ある意味で自然な発言にも思いましたが,ある意味で非常にショックでした。防災というと,確かに大きな災害に対する対処のことを考えます。でも,災害の時に生き抜く知恵というのは,人生を生きていく知恵にもつながるのではないでしょうか。子供のことから,多かれ少なかれ何らかのトラブルに遭遇します。そのようなときにどのように対処するのか。それらの日頃の積み重ねが大きな災害の時の対処にもつながるものだと思います。逆に言えば,災害の時の考え方,対処法が日常の小さなトラブルに対する対処力を伸ばすことにもつながるのではないでしょうか。
学校教育でさまざまなことが要求されています。でも,それぞれ個別にやる時間も余裕もありません。防災教育もしかりだと思います。日頃の小さなトラブルに対処する能力は,社会で生きていく上でとても大切です。そのような教育は,広い意味では,キャリア教育にもつながるものと考えています。社会に出て生きていくなかで,人間関係も含めてさまざまなトラブルに遭遇するはずです。将来の目標をもって何かを目指しても,さまざまな障害が出て,思うように行かないことも多いはずです。
小中学生でも,さまざまトラブルがあるはずです。そのようなことと絡め,対比しながら防災教育を行うことによって,身近で具体的な話として防災の話を聞くことかできるのではないでしょうか。そのため,このような広い意味での防災教育は将来の生き方を決める上でも大切だと思います。その中で,いじめ防止や道徳教育,思考教育などと結びつくのではないかと思います。これらのことをすべて取り入れようと欲張ると大変だと思うかもしれません。学級活動を含むさまざまな授業の中で,そのような内容を余談として2~3分ずつ挟むだけでも大きな効果があるような気がします。