コラム63でも述べましたが,正直に言うと,私はフレミングの右手の法則,左手の法則を記憶していません。ですから,本を調べないと説明がかけません。忘れたのかというとそうではありません。最初から記憶していなかったのです。高校では全く違う方法で教わったのです。
まず,フレミングの右手の法則については,「導体の動いた方向から磁場の方向に小さい方の各にそって,右ねじを回した時に右ねじの進む向き」という風に教わりました。左手の法則に関して,ローレンツ力については,
「電気を帯びた粒子の速度vと磁場Bが角度θをなしているときには,粒子にはたらく力Fの大きさは
|F| = |v||B|sin θ (65.1)
であり,向きはvとBに垂直で,vの先端からBの先端に小さい方の角に沿って右ねじを回した時に右ねじが進む方向である」(ここで,と太文字はベクトルを表す。矢印をつけた表示はpdf参照)
と教わりました。これは,大学に入っから習ったベクトルの外積の定義そのものでした。外積を使うと
F = v×B (65.1)
となります。ちなみに,v×Bは「vクロスB」と読みます。高校でも習うようにベクトルの内積A・Bは
A・B = |A||B|cos θ (65.3)
です。ちなみに,A・Bは「AドットB」と読みます。
この式の定義を言葉で表した表現で習ったために大学に入ってからスムーズに外積の式を記憶しなおせばよかったので楽でした。もちろん,大学受験段階でフレミングの法則を覚えなかったけれども,試験問題を解く上で全く困ったことはありませんでした。
私の物理を習った高校の先生は,力学では微積分を構わず使いました。また,位置エネルギーのことを大学で習うように「ポテンシャルエネルギー」と読んでいました。教科書のやり方をそのまま教えてもらいませんでしたが,却って物理の考え方がよくわかるとともに,大学で習う物理とのスムーズな橋渡しをしてもらいました。