水は,0℃以下で氷になり,100℃以上で水蒸気になります。この変化は,1気圧の圧力のときのものです。圧力が異なるとこれらの温度は異なってきます。身の回りの物体は固体,液体,気体と温度,圧力によって変化します。この変化の様子を図示したのが相図または状態図とよばれるものです(図152.1)。
図152.1で固相,液相,気相と書いてあるのは,物質が固体,液体,気体の状態(相)であるということを表します。温度,圧力でどのように異なるかを書いたのがこの図です。横軸のTが温度,縦軸のpが圧力を表します。氷が融けて,水になり,さらに沸騰して水蒸気になるのは,この図で言えば圧力を一気圧の直線PQ上での変化です。圧力を1気圧から下げていくと,三重点という点にぶつかります。この点よりも圧力が低い時には,液相は現れません。
熱湯を入れて簡易真空槽から空気を抜くと沸騰することを相図で説明しましょう(図152.2)。一気圧では,図の青い矢印で示した点Qです。この時の温度は100℃です。圧力を図の赤い破線に示す値まで下げると,図の赤い点Rに相当する温度で沸騰するようになります。山の上では,気圧が低いため,低い温度で水は沸騰します。そのため,圧力釜などを用いないとご飯がうまく炊けないのです。
固体から気体に直接なるドライアイスの状態図は図152.3のようになります。1気圧では,図に示すように「昇華曲線」の上の点になります,固体から気体に変化します。このように固体から気体に直接なることを「昇華」といいます。そのため,固体から気体になる境目の曲線を昇華曲線といいます。ドライアイスの圧力が高くなると融解曲線がありますので,液体になることができるのです。
アイススケートはなぜ滑るのかご存知ですか? 実はアイススケートのエッジの先では氷は融けているのです。融けた水が潤滑油のような働きをするために,滑るのです。氷が融ける理由として,いろいろ説があります。一つは摩擦熱によるというものです。もう一つは,圧力によって融けるというものです。エッジは細いため,高い圧力が加わります。そうすると,図152.4のように固相のA点から液相のB点の状態になります。そのため,同じ温度でも氷は融けるのです。
関連動画: 「 身の回りの物質の状態変化」(6分03秒)
関連サイト: 「第13回 さまざまな物質の科学1」