熱を伝えるというのは,広い意味では「伝熱」とよばれます。伝熱を分類すると熱伝導,熱伝達,熱放射に分けられます。専門家以外には,伝熱も熱伝導も熱伝達も同じニュアンスに感じるでしょう。でも,内容を説明するわかりやすいものだと思います。
熱伝導というのは,物体がそのままの形で熱が伝わるものです。金属や木を通じて熱が伝わるのが熱伝導です。物質の中を熱が伝わるのが,「熱伝導」なのです。
「熱伝達」というのは,物体の移動をともなう熱の伝わり方です。蒸発や凝集(気体が液体になって固まるもの。冬の窓についた水滴「結露」を思い浮かべてください)などがそうです。また,対流という現象もその一つです。物質が熱を伝えるのが熱伝達なのです。
コーヒーや味噌汁,スープなどが冷めるのは,表面からの蒸発と空気に対する熱伝達によるものです。内部でも対流がおきるので,さらに冷めやすくなります。味噌汁のお椀やお茶を入れて湯呑みに蓋をするのも,冷めにくくするためです。
熱放射というのは,放射熱による熱伝導です。ハロゲンヒーターの近くに行くと,暑く感じるのもその現象の一つです。