子ども向けのイベントで「地球も一つの熱機関である」ということを説明するときに,紙芝居をします。私の趣味でなぜか,「北風と太陽」が股旅ものになっています。
北風と太陽の本来の意味は物事に対して厳しく望むのと,優しく対応することを比べる時の比喩に使います。でも,私は別の意味で使っています。
「北風は太陽に敵うわけはない。その理由は,太陽が無ければ風が吹かないからだ。風が吹くのも,雨がふるのも太陽がエネルギーを受けているからだ」ということで,太陽エネルギーの恵みを受けている地球の話の導入に用います。
紙芝居1
ある日のこと,太陽と北風がおしゃべりをしていました。
北風 「お天道様よ~~。あっしの力はすげぇんだぜ。木の葉を落とすこともできるし,ものを吹っ飛ばすことだってできるんだぜ。力では,ぜったいに,お天道様にゃ負けやしねえ・・・・」
太陽 「そんなことありませんよ。私は大地の母ですもの。私がいなかったら,人も,動物も,木も,草も何にも生きられないわ。」
北風 「でも,力だけは,あっしの方がつえぇぜ! 何なら,力比べをしてもいいんだぜ!」
太陽 「のぞむところよ!あなたの言うとおりのやりかたで,力比べをしましょう。」
北風 「よっしゃ~~。そんじゃあ,あすこに旅人(たびにん)が歩いてるだろう。」
太陽 「ああ。あの笠をかぶって合羽(かっぱ)を来た旅人(たびびと)ね。」
北風 「そうだ! あいつの合羽を脱がしたほうが,勝(かち)っつうのはどうでえ?」
太陽 「それじゃ~~あ。まず,北風さんからどうぞ・・・・」
紙芝居2
~~てなわけで,お天道様と北風は力くらべを始めました。旅人は,笠をかぶって,マントのような合羽を着て,振り分け荷物に道中差し。
街道をテクテクと歩いています。
旅人 「あ~あ! 山越えきつかったぜ~~。つぎの宿場まで,あと二里か・・・。もう少しだ・・・。」
と,そこへ北風がピュ~ット吹いてきました。
旅人 「ブルブルッ。急に冷てぇ風が吹いてきやがった! あ~~っ! さぶっ! ~~」
と旅人は,合羽が広がらないように,内側からしっかりと体をくるむように押さえながら,
旅人 「とにかく,早くあっつい風呂にへえって,あっいのをキュ~ッといっぺえやりてぇもんだ! 」と足早に歩いていってしまいました。
紙芝居3
次は,お天道様の番です。
先ほどの旅人は,寒い北風にふるえながら,あるいています。すると,曇っていた空が急に晴れて,かんかん照りになりました。
旅人 「あ~~! 急に暑くなってきやがった! さっきは,寒くてたまんなかったつぅのに,今度は,暑くてたまんねぇぜ!」
といいながら,合羽と笠を脱いで,顔の汗を手ぬぐいでぬぐいました。こうして,お天道様は,いともたやすく旅人に合羽を脱がすことができました。