これまで,日本はモノづくり,が発展を支えてきたと言われていました。確かに,第二次世界大戦後の経済成長を支えたのは,製造業でした。そのため,モノづくりを重視されたのです。その中で,日本人が社会の仕組みやものの使い方などを工夫してきました。戦後の経済成長を支えたのは,本来政治体制で良い製品を効率的に生産するとともに,非熟練の人が積極的に生産に携わるために考えたシステムがもとになっています。
ソニーのトランジスタラジオやウォークマンなどは外でラジオ放送や音楽を聞くという「生活のスタイル」を変えています。このようなやり方や仕組みをつくることを「コトづくり」といいます。コトづくりという言葉は10年ほど前から言われだした言葉ですが,日本人はモノづくりとともにコトづくりを進めてきたのです(「コトづくりからのものづくりへ」産業競争力懇話会2012年度プロジェクト最終報告書)。日本の製品ではありせんが,モノづくりとコトづくりの連携で,iPOTやiPhoneなどもつくられてきました。これからの世の中をつくるには,モノづくり,コトづくりができ,さらにそれらのことができる人たちを育てながら仕事をするという意味での「ヒトづくり」が大切です。そのような能力を育成するためには,モノ,コト,ヒトのつながりを学びが大切であると考えています。
もう一つ大切になってくるのは,「デザイン能力」だと思います。デザインという言葉を聞いてもピンと来ない人も多いでしょう。多くの人は「造形デザイン」しか思い浮かばないかもしれません。デザインといっても,難しく考える必要はありません。何かをするための「しくみ」(システム)を創ることは,全て「デザイン」になります。デザインのことを考えるために今までやってきた勉強のことを考えてみましょう。
まず,お母さんに「勉強しなさい!!」と口うるさく言われたらどうでしょうか。人それぞれでしょうが,私ならば「うるさいなあ!! 勉強しておくふりをしておこう」と思い,やる気がなくなります。人からやれと言われても,なかなかやれません。
でも,自分でやらなければとおもったらどうでしょうか?私の場合は,高校2年10月頃まで机に向ませんでした。でも,大学に進学したくなりました。そこで,受験勉強を始めたのです。でも,そのままでは手がつきません。そこで,まず考えたことは「どうしたら机に向かえるのか?」「どうしたら学習が続けられるのか?」ということでした(コラム170)。このような勉強のやり方を考えるのも「デザイン」です。