熱力学は物理,化学,機械工学(化学工学を含む)などの基礎としてとても重要です。でも,多くの人にとって熱力学は非常に難しいと感じます。数式が難しく,直感的に分かりにくいからです。私が最初に熱力学を習ったのは大学一年前期の「物理学概論」という科目の中でした。まだ習っていない偏微分が出てきて,全く理解できませんでした。専門の講義では,統計力学的に熱力学を理解する内容でしたので,より分かりやすかったことを記憶しています。そのかわり,専門科目ではオーソドックスな熱力学の授業は受けずじまいでした。
40歳のときに,会社を退職して福井大学に移りました。その時,前任者からの引き継ぎで熱力学の授業をするようになりました。私自身も苦手でしたが,いろいろ考え,工夫ながら授業をしてきました。