熱力学や物理化学では,「熱平衡」という言葉が使われます。「平衡」とはもともとどのような意味の言葉なのでしょうか。衡の両脇は行ですが,行は十字路を表す象形文字から来ているそうです。中にあるのは魚ではなく,角がある牛の体を表しているそうです。牛の角が人を傷つけないようにつけた横木である「つのぎ」の意味だったそうです。それから,意味を転じてはかり(天秤)を表すようになったそうです(白川静「常用字解 第二版」平凡社,2003)。平衡というのは,天秤がつりあった状態のことです。私は,てっきり衡の時は,二人の人が天秤棒で魚を担いでいる姿を表したものだと思っていました。間違っていましたが,想像してから確認することは楽しいことですよね。あっていても,間違っていても確実に身につきますよね。その辺のところを学校での学習に取り入れたら面白いのですが。
さて,「度量衡(どりょうこう)」というのは物理量の基本となる単位のことです。度は長さ(ものさし),量は体積(枡(ます)),衡は質量(はかり)です。時間があったら,それぞれの文字の成り立ちについて調べてみてください。福井県の学校教育で取り入れている,「白川文字学」は,単に漢字を覚えるだけではなく,楽しい学び方,役立つ学び方の基礎を身につけるための,基礎となるのではないでしょうか。度量衡に関しては古今東西様々な単位が使われてきましたが,基本的には物理ではSI単位系(国際単位系)が使われています。
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