尾形 毅(平成元年卒)
夏の札幌で、仙台藩士が明治維新後に北海道開拓に記した足跡を訪ね歩いた。
札幌駅の西方にある琴似は、屯田兵が札幌開拓の入植をした最初の地であり、当時の兵屋跡や神社が北の開拓史を語りついでいる。実はここ琴似神社の御祭神は、亘理伊達家の猛将・成実公である。藩祖・政宗公を、生涯にわたり、知将・片倉小十郎とともに支えた武勇の人だ。
明治初年、維新で窮乏した亘理伊達家は、北海道に渡り、胆振の伊達市や札幌琴似を拓く。後年その開拓民たちが新政府に懇請し、武勇の誉れ高き高祖・成実公を武早智雄神として、北の大地の開拓・守護神に祀ったのがこの神社の起源という。
また、札幌近郊の当別町は、岩出山伊達家の主従が石狩川の原野を拓いた町である。札幌からローカル列車でJR石狩当別駅を降り立つと、そこには岩出山のJR有備館駅と同じデザインの姉妹都市プレートが掲げられている。構内には当別の開拓史が掲げられ、2つの町がいまも深き縁で結ばれていることを示している。
この当別の開拓史は本庄陸男の「石狩川」に詳しく、中心部の当別神社には苦難の開拓を導いた当主・邦直公を祀り、夏の例祭が賑やかだった。いまも当別の人々は、秋になると岩出山で開催される「政宗公まつり」に毎年大勢で参加されている。
維新で賊軍の汚名を受けた仙台藩士は、刀を鍬にもちかえ北海道を切り拓いた。その末裔たちは、今も二つの神社を守り、遠き始祖の地・仙台に思いを寄せている。明治維新150年、そして北海道命名150年。其々の地に維新の史実があり、現在につながっていることを知った旅であった。