第20回 商大学長選に思う

昭和50年卒 福田 和弘

商大創立100周年の行事も終盤を迎えようとしている中、学長選挙が賑々しく行われ、山本学長の再選で決着した。

しかし、あの名門・神戸商科大学が整理統合され兵庫県立大学になったように、時流は穏やかにそして着実に小樽商科大学の灯を消そうという方向に流れているのではないかと、私はひそかに危機感をいだいている。

国は、2年余前に政権交代で民主党の政権となり、その目玉政策の一つが「事業仕分け」である。 あの蓮舫大臣の所管である。その中で積極的に行われているのがご存知のとおり独立行政法人などの整理統合である。政府・財務省・文部科学省は、恒常的な税収不足などを背景に、徹底的な無駄を省くと言う動き・合理化の旗のもと、今後、国立大学法人の再編の動きも表面化させてくることが十分に想定される。

わが母校のように小さな国立大学法人は真っ先にそのタ-ゲットの一つとなっていく可能性は高い。多分、この流れは国会解散・総選挙により再び政権交代が行われても大きくは変わらないだろう。

山本学長の再選が果たされ確かに時間は稼いだが、戦後、わが緑丘・小樽経済専門学校を襲ったあのGHQによる大学改革の嵐のように、再び札幌の旧帝国大学との統合もあり得ない話ではない。神戸商科大学とは、県立と国立の違いはあるが、その違いと言えばタイムラグぐらいしかないと言わなければならないだろう。

しかしである。商大が万が一にも消えることは、我々緑丘同窓生にとって「故郷」が消えることを意味する。小樽商科大学を出て社会人として人生を送ってきた同窓生のこれまでの生き方が否定されることに等しい。

創立100周年事業の成功に向け、山本学長を先頭に現役学生、OBが頑張ってきたわけであるが、昨今の商大を取り巻く情勢を見るにつけ、商大一世紀で終止符が打たれる危険性は絵空事とは言い切れないのである。もしかしたら山本学長が最後の学長になるかもしれない。

それでは小樽の灯を消さないためにはどうすればよいかと言う議論になる。数の不利さは今にはじまったことではないが、まずは小樽高商以来100年で3万人を輩出した同窓生(日本大学はたった1年で3万人の卒業生を送り出している!)が、しっかりと緑丘会を結束させ、それぞれの支部をしっかり守り活動することである。

現在の商大生が道内出身者で占めている現状では、早晩、緑丘会の全国的な活動も縮小していく懸念がある。そのような状況下で、商大の危機に対して同窓会として国に意見し、また、小樽市民や世論、マスコミの共鳴と協力を喚起することができるだろうか。

大切なのは「小樽商科大学は小樽緑丘に絶対に必要である」という幅広くそして強い世論である。何よりもまずは、緑丘同窓生に、必ず小樽商科大学の灯を守るという気概と行動がほしい。