第112回  小樽高商時代の石鹸作りの伝統が今甦る

「榎本石鹸」プロジェクト

小樽商科大学仙台試験場で来仙された片桐由喜副学長から、話題の商大「榎本石鹸(復刻版)」をお土産でいただきました。母校の歴史学ゼミ、化学ゼミ、商学ゼミが文理融合で復刻した商品で、いま化学専門誌にも紹介され高い注目を受けているそうです。2月に小樽で限定試験販売をしたばかり。小樽高商の伝統を受け継ぐプロジェクトを嬉しく思います。片桐先生、有難うございました。


プロジェクト詳細は商大HPから転載】

―小樽高商時代の石鹸作りの伝統が今甦る-

かつて小樽高等商業学校(本学の前身)には、企業実践科目として石鹸作りの授業がありました。学生たちは校内にある石鹸工場で高商石鹸と呼ばれる石鹸を製造し、それをもって小樽の町に売りにでました。これは、座学のみでは体験できない実習を重視する商学教育として、他の高等商業学校には類を見ない個性的な教育課程でした。これは初代校長渡邊龍聖が唱えたとされる「実学・語学・品格」の「実学」の部分の実践にあたるわけですが、残念なが

ら戦後には工場も無くなりこの伝統は途絶えてしまっていました。

しかし近年、小樽の名士的存在として当市の発展に大きく貢献した榎本武揚が、高商設立に際し寄付金を出すことにより小樽への誘致運動を率先するなど、本学とも深い関わりがある事実が発見されました。これを受け本学では、榎本が幕末期に長崎海軍伝習所やオランダ留学で化学を学び明治期の石鹸産業の発展に寄与した足跡と結びつけ、高商時代の石鹸作りの伝統を榎本石鹸という形により再び甦らせるプロジェクト(通称:榎本石鹸プロジェクト)に取り組んでいます。

2021 年度に始まった本プロジェクトでは、醍醐龍馬ゼミ(歴史学)と沼田ゆかりゼミ(化学)の協働により榎本が戊辰戦争後に獄中で書いた「石鹸製造法」を解読し、そこに書かれたオランダ語レシピから、スイートアーモンドオイルを使った石鹸を初めて復刻しました(榎本石鹸 復刻版)。

2022 年度には、榎本からの影響を受けたその兄が創設した江水舎が開発した石鹸の情報も加えることにより、現代風にリニューアルした石鹸を誕生させました(榎本石鹸 敏感肌)。

さらに 2023 年度には、プラート カロラスゼミ(商学)も加わり商品としての価値を追求し、榎本が好きだった牡丹の香りがする匂い付きの石鹸を開発しました(榎本石鹸 牡丹の香) 。

以上の経緯による一定の到達点として、個数限定の期間限定販売という形ではありますが、このたび商品として皆様のもとにお届けできる運びとなりました。

あくまで今回は、テストマーケテイングとしての販売であり、今後の完全な商品化に向けて皆様から使用感等に関するアンケートを頂戴し、より良い製品開発の参考にさせて頂きたく考えております。

お買い求め頂いた皆様には、地元企業の協力を得ながら教職員一丸となって開発した大学発の当製品をご堪能頂くとともに、今後とも温かいご支援を頂けましたら幸いです。

小樽商科大学榎本石鹸プロジェクト関係者一同


<科学技術振興機構HP>

文理融合】「榎本石鹸」〜明治初期の記録を読み解き、当時の製造法で復刻 沼田ゆかりさん