第19回 商大ルネッサンスの到来へ向けて

昭和50年卒 福田 和弘

小樽商科大学創立100周年のイベントが滞りなく終わった。さて商大は、次の100年に向けて何処を目指してゆくのだろう。

40年ほど前、国立大学の優劣を決めるために一期校と二期校という分け方をして、当時の受験生に2度のチャンスを与えた受験制度があった。当時はベビ-ブ-ムもあり、自然と競争原理に拍車を掛け、日本に驚異的な生産性をもたらした。そんな時代背景のもとにあったこの受験制度はもう消え去っている。

「商大応援団を復活する会」の小西君の危機感がヒシヒシと伝わる現在の商大の状況。私たちの時代のいわゆる偏差値は、我が商大は56、北大経済が54、東北大経済が55、横浜市大商学部が56であったと記憶している。私たちの時代、偏差値から見ても当時の商大はかなりのレベルだったと言えるが、当時苦労して商大を出た私などには該当するかどうか怪しいものである。

当時、国立2期校の各大学は、各都道府県にかならず有ったために「駅弁大学」と言われたが、団塊の世代の受験生には1期校の滑り止めであり、社会人になった際のリベンジの場面、つまり一流企業への就職機会でもあった。特に小樽商大などはその典型であり、実学の小樽と称され一流企業では必ず指定校にされていた。私たち時代は、有効求人倍率は楽に4~5倍はあった。企業の就職内定は、商大生一人当たり4社以上と今の就職超氷河期が考えられないくらいで、まさに「売手市場」そのものの状況であった。やはり好況の申し子と言えたのかもしれない。

今のこの時代が現役の商大生には可愛そうなくらいなのかもしれない。「商大ルネッサンス」の時代到来には、我々同窓生の努力も必要だが、未曽有の東日本大震災を経験して、そのハ-ドルはますます高くなったと言える。

頼みの政治は菅政権の体たらくに見てのとおりであり、期待は出来ない。期待は経済の自立復興だが、政治の強力な後押しが無いとその長続きは期待できない。しかしてどん詰まりの様相であり、個々人の努力による評価の集積によるしかないであろう。

100周年を契機に、商大ルネッサンスが到来するのに向けて、大学と学生が、そして同窓生が、それぞれの立場で地道に奮闘努力するしかない。

カ-ル・マルクスの初期作品の中に「個」と「類」と言う概念があるが、今こそ「個」が頑張り、「類」に進化し、潮流を作り上げてこそ、その時代が来るのである。