第10回 被災地のがれき処理と

菅おろしの不整合さ

福田 和弘(昭和50年卒)

先日の日本経済新聞のコラムで、「どんどん小さくなる政治」という見出しが目に入った。

今の政局を批判したものだが、しぶとい菅直人を野党ではなく与党の民主党の面々が引きずり降ろそうという異常な状態と言える。特に目立つのは小沢グル-プの動きだ。本来、菅を支えなければならない与党が、菅ではだめだと言っている不思議さである。それじゃ次は誰を首相にするという案が出てこないのも摩訶不思議である。

このような「見通しのないバタバタ劇」に国民はへキヘキしている。菅直人はいっそのこと「復興解散」でも宣言してみたらどうだろう。少し前、「郵政民営化」で解散を宣言した小泉純一郎のように、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある」のかもしれない。

小泉は、郵政問題で自民党内にある反論を国民に呼びかけ、総選挙で鮮やかに大勝利し、見事に「郵政民営化」を推し進め、成し得たのである。菅も「復興」に命をかけるのならその点だけに絞って国民に信を問えば、間違いなく勝てるのだが、その心意気はないのだろうか。

民主党内の不平不満の分子たちを瞬く間に一掃できるのに、判らない御仁である。政治がダイナミズムを取り戻し、今彼が置かれている窮地を自らが救える筈なのに、読めない御仁である。まあこのようなお人だから政局にされるのだが、能が無い御仁である。

東日本大震災の被災地の人々は着々と遅れていく政府の対応策に業を煮やしている。恐らく自分たちを救ってくれる政治家なら誰でもいいと思っているのだろう。被災地は国政選挙どころではない!

たとえば国会で、被災地救済法案で被災地の知事や首長に権限と予算を与えて、「おまかせする!」と言った法案を可決し、国会を解散し、被災地のがれき処理のボランティアに国会議員自らが走ったら、その政党はその選挙は大勝利するに違いないだろう。菅直人はいまの彼をタ-ゲットにした政局の打破はこの方法しかないと知るべきだ。

政治は非常に簡単なものなのだ、それを難しくしているのは彼ら政治家自身である。理屈をこねている暇が有ったら、真っ先にがれき処理に走る行動力が今の政治家に欠け過ぎるぐらい欠けている。

日本経済新聞のコラムの間違いを指摘するわけではないが、正解は「どんどん小さくなる政治家」だと思う。日本国民は一流、政治家は三流と言われるが、国民の選択眼は決して一流ではないと・・・「戒めよ。」