第39回 小樽逍航賦「赤光の海」 商大漕艇部

宮城支部事務局

緑丘会阪神支部の宮内昭治先輩(昭41卒)から、小樽商科大学・学園歌として、商大生そして緑丘同窓生が歌い継ぎたい名曲をご紹介いただきました。

その曲は、小樽逍航賦『赤光の海』。平成18年11月に小樽商科大学漕艇部後援会の協賛にてCD化されました。

作詞を担当されたのは、商大漕艇部OBの渡辺捷弘先輩(昭42卒、島根県在住。ペンネーム:西村甫)。作曲と歌は、札幌を拠点に活躍されているヴォーカリスト・森崎ひとみさんです。

宮内先輩によりますと、作詞者の渡辺先輩とは、商大在学中、智明寮でずっとご一緒だったとのこと。渡辺先輩は漕艇部(コックス)と応援団、宮内先輩は剣道部でそれぞれ活躍されたとのことです。

渡辺先輩は、商大時代、練習をかねて、よく遠漕に出られたそうです。手宮の桜、銀鱗荘を眺めながら祝津・オタモイへ、帰途高島岬沖から眺める天狗山の夕景。この『赤光の海』の歌詞には、若き渡辺先輩が、愛艇「赤光」から見つめた小樽の海と山々、そして街、人々の情景が、青春の思い出として詩情豊かに書き上げられております。

さらに、ヴォーカリスト・森崎ひとみさんの伸びやかな透明感あふれる美声が加わり、私ども小樽商科大学関係者そして小樽市民の心の琴に触れる愛唱歌に仕上がりました。

宮内先輩は、「この歌は、私の小樽商大時代そのもの。この歌が大好きでドライブのさいは必ず聴いている」と語られております。

宮城支部としては、校歌そして若人逍遥の歌とともに、ぜひ、この『赤光の海』をわが小樽商科大学の学園歌として歌い継ぎ、母校、小樽の自然、そして街に思いを寄せていただければと存じます。

なお、今回の宮城支部ホームページへの掲載にあたりましては、渡辺先輩が楽曲関係者様にご連絡いただきご了解を得ていただきました。また、渡辺先輩によるCDの「小樽逍航賦「赤光の海」のCDによせて」の転載をお許しをいただきましたので、皆様ぜひご一読ください。加えて渡辺先輩からは、わざわざ今回のホームページ掲載に対する謝意を頂戴しておりますので、併せてご紹介させていただきます。

宝石のように輝く素晴らしい楽曲に出会えましたこと、宮内先輩と渡辺先輩に心より感謝申し上げます。

小樽逍航賦「赤光の海」のCDによせて

作詞 西村 甫

桜花咲く島根から三日掛りで辿り着いた小樽はまだ冬景色だった。鉛色の空と煤けた雪、その坂道を登った丘の上に大学と寮はあった。緑町番外地。窓からは小樽の街と海がどんよりと沈んで見えた。

それから半月、北国の春は速い。見る間に落葉松が芽吹き、緑一色に包まれる。その丘を人々は「緑ヶ丘」と呼ぶ。空蒼く澄み、紺碧の石狩湾のかなた増毛の山なみに光る残雪、それを染めて昇る朝日は一条の赤い光と化して海を渡る。朝まだき、アカシア匂い、郭公は歌う。

赤々と一本の道通りたり たまきはるわが命なりけり(茂吉)

斎藤茂吉の歌集「赤光」-それは誰が名付けたか、私が入学した頃の小樽商大漕艇部唯一のナックル艇の艇名でもあった。

私達はよく遠漕に出た。祝津からオタモイ。海上から眺める小樽の嶺々、銀鱗荘など愛艇の名と共に忘れえぬ青春の想い出である。

あれから幾星霜、わが青春を一篇の詩に託したのがこの歌である。

会社の友人・羽野君の紹介で、札幌のヴォーカリスト森崎ひとみさんの作曲をいただき、北海の潮の香匂う曲を得ることができた。それは奇しくも商大初のシェルフォア進水40周年の春であった。そして、その秋(2006年)の40周年記念会に森崎さんの歌声で初演。その後、羽野君が是非CDにと尽力してくれて、この2007年秋発行に至った。

小樽の人々、小樽を愛する人々の愛唱を得るなら望外の喜びである。あらためて、森崎さん、羽野君、漕艇部後援会の皆さんに深く感謝の意を表する。又、詩心は母の血筋なれば、母方の姓をもってペンネームとし、労苦して遊学させてくれた亡き母にこれを捧げる。

プロフィール

1942年島根県大田市に生まれる。

1967年小樽商科大学卒業。

2000年定年退職後、郷里に隠栖、晴耕雨読して現在に至る。

本名 渡邊捷弘

ホームページ掲載を謝す

昭和42年卒 渡邊捷弘

拙詩「赤光の海」の楽曲を宮城支部ホームページに掲載いただき、更には校歌、若人逍遥の歌に次ぐ緑丘愛唱歌に加えたい詩曲との望外な賛辞まで頂戴しました。身に余る光栄と心から深甚の謝意を表します。

思えばCD発行直後、発行元の社友(大阪在住)に宮内先輩を紹介し、阪神支部でのPRをお願いしました。それから6年、思いだにせぬ宮城支部ホームページへの掲載です。聞けば、この歌を「大学時代そのもの」と気に入ってくれた宮内先輩の紹介だと言います。また、6年前、発行元の社友と作曲者と3人で小樽にこの歌のキャンペーンに赴きました。札幌の寮友が車で先導してくれ、同期の小樽観光協会理事の紹介で北海道新聞小樽支局を訪ね、後志版の記事にもして貰いました。

その札幌の寮友が先月逝去、その告別式の翌日、誘われるままに小樽公園での札幌支部収穫祭に参加しました。そこで宮城支部の福田事務長に初めてお会いしました。私と同じ吉武ゼミの後輩とのこと、亡友も同じゼミでした。亡友と先生のお引合わせでしょうか?

この歌を「幻の名曲?」とせず、ホームページ掲載を継続いただくには福田事務長ほか宮城支部の皆様のご高配あってのこと、そして、この歌に託す皆様の小樽への熱き想いの賜物であろうかと重ねて厚くお礼を申し上げます。それらを思い合せ、あらためて同窓の有難さ、寮生の絆をつくづく心に刻みました。

われら「一握の砂」であれ、否、小さな大学の同窓なればこそ、あの小樽の海と山と街を望む緑丘に学び、青春を過ごした人々の絆は永く、更に強く結ばれることを信じます。この歌が幾許か、その一翼を担うことあれば悦びこれに過ぎることはありません。ありがとうございました。

CDご希望の方があれば下記までご一報下さい。

尚、限定頒布(2000円)でしたので、増刷に日時を要しますこと予めご了承ください。

694-0051 島根県大田市久手町波根西2088 渡邊捷弘

TEL 0854‐82‐8030 メールアドレス qqfnw317@yahoo.co.jp