「よいものは“押しつけ”などとは言わない」

投稿日: 2013/01/06 14:56:05

日本国憲法の起草に参画されたベアテ・シロタ・ゴードンさんが昨年12月30日に亡くなられたと1月3日付の朝刊に掲載されました。なぜか改憲推進の「読売」は4日でした。安倍政権が誕生し「失われた日本を取り戻す」「美しい日本をつくる」といって憲法改悪を本格的に進めようとしているときだけに、ベアテさんの話があらためて新鮮に思い出されました。「よいものは“押しつけ”などとは言わない」-。

私がベアテさんの講演を聴いたのは2004年10月29日でした。講演後、『1945年のクリスマス』のサインセールに並びました。新聞労連の書記長の任期を終えた引き継ぎの期間で、ブッシュ米大統領のすすめるイラク戦争に小泉政権が憲法を踏みにじって自衛隊を派遣、新聞労連は出版労連や航空連、全大教など連合や全労連といったナショナルセンターに加わらない確か9単産と憲法改悪反対労組連絡会をつくって精力的に活動をしていました。翌日にシンポジウムを控えていました。

ベアテさんはユーモアを交えながらも戦前の女性の置かれた状況を怒りをもって「女性が幸せにならなければ平和は訪れない」と話されました。それは『1945年のクリスマス』にまとめられています。

「時間はいつも同じ速さで流れているのではない。1946年2月4日から12日までの9日間は、私の生涯で最も密度の濃い時間だったかもしれない」

「『あなたは女性だから、女性の権利を書いたらどうですか?』と言ってくれた。嬉しかった。飛び上がるほど嬉しかった」

「私は各国の憲法を読みながら、日本の女性が幸せになるには、何が一番大事かを考えた。それは、昨日からずっと考えていた疑問だった。赤ん坊を背負った女性、男性の後をうつむき加減に歩く女性、親の決めた相手と渋々お見合いをさせられる娘さんの姿が、次々浮かんで消えた。子供が生まれないというだけで離婚される日本女性、家庭の中では夫の財布を握っているけれど、法律的には財産権もない日本女性、『女子供』(おんなこども)とまとめて呼ばれ、子供と成人男子との中間の存在でしかない日本女性。これを何とかしなければいけない。女性の権利をはっきりと掲げなければならない」