NO.264 反骨爺のつぶやき 高村よしあつ

投稿日: 2018/03/28 3:05:08

明けましておめでとうございます。今年は改憲をめぐる決戦の年であり、9条と合わせて緊急事態条項が焦点となって来る。

麻生副総理は、画期的な民主主義憲法であったワイマール憲法からヒトラーが生まれ出てきたことをとらえ、「あの手口を学んだらどうかね」と語った。長谷部・石田両氏の「ナチスの『手口』と緊急事態条項』(集英社)は、ナチスに学んだ自民党の緊急事態条項を鋭く追求している。

ワイマール憲法には、「公共の安全及び秩序に著しい障害」が生じた場合に、大統領緊急令が定められていた。ヒトラーは1932年2月、自ら「国会議事堂炎上事件」を引き起こしながら、共産党の組織的陰謀と決めつけ、大統領緊急令によって、共産党国会議員をはじめとする抵抗勢力を大弾圧し、33年3月の選挙でナチスは過半数を獲得。ヒトラーは共産党国会議員の拘束を利用して、出席議員の3分の2の賛成による「授権法」を制定。そこには、政府の議決した法律は、「憲法に違反することができる」と明記され、一挙に立憲主義を破壊し、軍事独裁政権へと歩み出すのである。

自民党の緊急事態条項は、外部からの武力攻撃、内乱などに加え「地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態」と要件がきわめて曖昧であり、総理が宣言を決めればいつでも緊急事態となり、法の下の平等、思想及び良心の自由、集会・結社の自由などを制限しうることになる。裁判所に宣言が憲法違反だと訴えても、「統治行為論」で逃げられてしまう。

安倍改憲は、緊急事態条項でも立憲主義を破壊しようとしている。日本国憲法は、国民主権の原則にたって、憲法制定権力である国民の自由は制限し得ないとして、緊急事態条項を排除しているのだ。