「一粒の麦」NO.227 会長エッセー ことばの話

2015/01/02 19:46 に 山根岩男 が投稿   [ 2015/03/18 23:14 に更新しました ]
 人はことばによって物事を認識する生き物であり、ことばによって希望を得たり失望したりもする。あることばによって生きる勇気を持てたということも稀ではないだろう。 それは、たった一文字であったりするしひとつのスピーチだったりもする。
素晴らしきチャップリンのスピーチ
 ひどく感動したのは、チャップリンの映画「独裁者」の中での名スピーチだ。単にスピーチそのものだけでなく、チャップリンの理性と勇気に心を揺さぶられという面が大きいのかも知れない。ご存じの方も多いと思うが、独裁者(明らかにヒットラー)の影武者にされた理髪師が独裁者に代わって行なうスピーチである。ヒットラーの侵略によって暗澹たる時勢が現出した時に、それに抗して人間の生き方や人類のあり方を示した。このスピーチは、本来はヒットラーが兵士たちに「檄」するための場面なのだが、影武者は逆に「・・機械の心をもった人間たちに身を許してはいけない。君たちは機械じゃあない、君たちは家畜じゃあない。君たちは人間だ。君たちは人類愛をもった人間だ・・・世界を自由にするために、国境のバリアーをなくすために、憎しみと耐えきれない苦しみと一緒に貪欲をなくすために闘おう。・・兵士たちよ、民主国家の名の下に皆でひとつになろう」と、独裁者と闘うことを呼びかける。のちにチャップリンは「赤狩り=共産党への弾圧」のために祖国を追われることになる。時々この美しいスピーチを広げては心の汚れを落とす。心にしみる世紀の名スピーチだと思う。
 「青春」という詩
 もう一つ励ましてくれるのはサミュエル・ウルマンの「青春」という詩だ。訳者によって若干の違いはあるが、宇野収氏の訳が詩的で、これで一部を紹介する。
 「青春とは人生のある期間でなく、心の持ち方をいう。薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、たくましい意志、豊かな想像力、燃える情熱をさす。青春とは人生の深い泉の清新さをいう。青春とは臆病を退ける勇気、安きにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する。時には20歳の青年より60歳の人に青春がある。時を重ねただけで人は老いない。理想を失なう時初めて老いる。歳月は皮膚にしわを増やすが、情熱を失えば心はしぼむ・・・」。この詩も時に取り出して心の滋養にする。
いい訳をするな
 最近すっかり感心し、心の戒めにしているのは「一生懸命だと知恵が出る、中途半端だと愚痴が出る、いい加減だといい訳が出る」。これは、朝の散歩道にあるお寺に架かっていたもので、う~んとうなってしまった。全くそうだと思い当たった。いかに手を抜いた人生であることか、自分を見つめさせてくれたことばだった。
 「働くものの命と健康を守る広島県センター」という組織の事務局長を務めているのだが、今年の総会の参加者はわずか13人だった。他にもいくつかの役職をもっているものだから、(どれもこれも完璧にはできない)という「いい訳」が心の底に巣くってしまっている。本当に多くの方に集まってもらえるよう手を尽くしたかというと全くいい加減だった。その結果が13人。最初から「いい訳」をしながらやっているのだから、いい加減になるのは当然であった。ことばによって心模様がはっきりした。

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