「一粒の麦」NO.242号 会長エッセイ「小旅行の話」 重村幸司

2016/04/03 1:54 に 山根岩男 が投稿
 ひょんな事から中国地方を小旅行する機会を得た。15年以上に亘る年間10回前後の小旅行の思い出は人生の宝物になっている。いつもほかほか感に充たされているのは、美しい風景が心の中に棲みついているからに違いない。
 「ひょんな事」というのは、仕事などの兼ね合いで三パターンの日帰りバスツアーを企画することになったからである。
 JRで働いていた時の「花紀行」、日本共産党広島県後援会の「広島県探訪ツアー」、働くものの命と健康を守る広島県センターの健康企画「山・島・桜を歩く」の3種類である。「花紀行」は年間10回前後、「広島県探訪ツアー」は年間2回、いの健センターの「ウオークツアー」年間2・3回。この3旅行が重なっている時期は、月平均1回以上の小旅行である。常連の方は「添乗員が同じ人だから、どのツアーに参加しているのか分からない」と笑った。

 一石二鳥の旅
 小旅行とはいえ、これだけの旅を自腹で行くとなると金と時間が馬鹿にならない。が、営業の一環だった「花紀行」はわずかとはいえ添乗手当をもらい、時間も勤務時間での旅だから誰からも後ろ指を指されることのない、いわゆる一石二鳥であった。。
 中国新聞文芸欄の俳句の撰者である木村里風子さんが、同人の吟行旅行として「花紀行」を利用してくださった。NHK広島の俳句協会の会長でもあった木村先生は温厚な方で、多くの生徒や俳人から慕われていた。そのため百人以上の会員が入れ替わり立ち替わりの参加だったので、バスはいつも満杯、人気の企画だとバス二台ということもあった。水仙から紅葉のころまで毎月中国地方各地の花を求めて出かけた。
 水仙・梅・桜・藤・花菖蒲・ユリ・シャクナゲ・ひまわり・野草・銀杏・楓など身近な所に素敵な花処があった。リピーターが多く、そのうち気心も知れて、添乗員といっても楽しい語らいの輪の中に入れてもらって一緒に花を楽しむことができた。幸せな時間だった。

 「広島県探訪ツアー」は、広島県の風土・名所・歴史を探訪した。地域で活躍する活動家との交流も楽しみの一つだった。高村よしあつ弁護士を会長に得てからは、広島県の人民の闘いの歴史を目的にして探訪した。江戸期に起こった日本での最初のストライキといわれる竹原の塩田労働者の闘い。完全勝利のうえ一人の犠牲者も出さなかった為、珍しい一揆といわれた福山藩神辺を舞台の「天明の一揆」。歴史に埋もれさせてはならないと、ツアー直前に地元の方によって顕彰碑が建立された世羅の「勘三一揆」。明治に入った直後の「武一騒動」。これらの広島県探訪ツアーも感動の旅であった。

 「いの健・ウオークツアー」は幾度も紹介させていただいた。心も身体も健康をねがう旅である。これらの小旅行は、与えられた機会を活かしての我田引水であったが、きっと許していただける旅だったと一人確信している。

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