NO.265 反骨爺のつぶやき 高村よしあつ

投稿日: 2018/03/28 3:06:44

新自由主義のもとで、貧富の格差は拡大するばかりだというのに、一体税金を何に使っているのか、国の借金は膨らむばかり。安倍首相は、2019年10月から消費税10%を実施すると言っているが、日本の借金が1000兆円と聞けば、やむを得ないのかなと思ったりもする。こんな時、「ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか」(熊谷徹 青春出版社)と言う本に出会った。日本共産党は、ヨーロッパの主要資本主義諸国の到達点を踏まえながら「ルールある経済社会」をつくると言っているので、参考までに紹介しておきたい。

リーマン・ショック以後、アメリカ型新自由主義が、世界中を席巻したのかと思ったが、ドイツの「社会的市場経済」という資本主義は依然として健在である。東西統一後、「欧州の病人」と言われながらも、ドイツは40日前後の有給休暇を確保しつつ、高い社会保障負担率のもとで、労働生産性をあげて、2009年から5年間で財政赤字を96%も減らし、経済成長を実現した。「社会的市場経済」とは、「国富を富裕層や企業に偏在させずに、一部を所得が低い国民に還元し、格差による不利益を緩和しよう」というものである。それを可能にしているのは、労働組合の代表が取締役会のお目付役である監査役会に参加し、間接的に経営に参加していることにある。ドイツの企業統治は、「合意に基づく経営」であり、福祉を充実しつつ、借金も返済しているのである。

日本が歩んでいる新自由主義型の資本主義は、資本主義の特殊な一形態にすぎない。ヨーロッパには「社会的市場経済」という「人間の顔をした新しい資本主義」が登場して新自由主義に立ち向かっている。夢は大きいほどよい。市民と野党の共闘の前進は、こういう「ルールある経済社会」が日本でも現実に転化する必然性をもっていることを教えてくれているのだ。