NO.275 反骨爺のつぶやき 高村よしあつ

投稿日: 2019/01/15 7:52:24

堤未果氏の「日本が売られる」(幻冬舎新書)が、鋭くアベ内閣の「働き方改革」の中味を告発している。仕掛け人は、人材派遣最大手のパソナグループ竹中平蔵会長である。まず手を付けたのが、残業代なしの過労死法・「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」。対象は年収1075万円以上の専門分野の人かと思えば、とんでもない。法律にはどこにもこの数字は記載されていないから、これから厚労省の腹づもり一つで、年収はどんどん切り下げられ、対象者は無限に広がっていく。

その前例となるのが、1986年の労働者派遣法である。当初は13業務のみだったのが、みるみる業種が広がり、99年には原則自由化、2004年にはとうとう製造業にまで広がり、いまや4割が非正規雇用、その8割が月額20万円未満となっている。

「高プロ」に続いて登場したのが、「外国人労働者50万人計画」であり、それが現在国会で論議されている「出入国管理法改定案」である。日本で働く外国人労働者は、既に128万人、そのうち26万人が「技能実習生」。彼らには、家族の帯同も認めず、労基法も最賃法も認めない人権侵害がまん延し、2018年には半年で4279名が失踪して行方不明となっている。日本共産党の藤野議員の追及で、失踪者の67・2%が最賃法、契約賃金以下の低賃金を理由とするものであることが判明した。

堤氏は言う。こんな無権利な「奴隷労働」となっている外国人労働者をそのままにして、さらに50万人の増員を認めるとどうなるのか。 今後「高プロ」対象者の拡大で、労働時間に関係なく働く労働者は限りなく増えていく。その賃金をもっと切り下げて行くには、日本人労働者よりもっと安く働く外国人労働者を50万人増やして、さらに人件費を切り下げようというのである。「働き方改革」とは、日本の労働者を多国籍企業群に売りわたす手段に他ならない。